登山と低体温症

山ではおよそ100m登る度に0.6度気温が下がると言います。

3000m級の山ならば、実に18度も下界とは温度差があるということ。
富士山だとおよそ22度もの差があるので、真夏の町中で35度あったとしても、富士山山頂付近では11度しかないという訳です。
富士山は10月にもなれば登山禁止となってしまいますが、10月の気温が下界で20度程度とすれば、山の上は氷点下。
当然、専用の装備を装着しないと凍え死んでしまいます。

高山に挑むに当たっては、フリースやウインドブレイカーなどの装備を持っていくことは言うまでもありませんね。


私の経験から言うと、真夏の8月でも低体温症になる可能性はあります。
8月のお盆休みの際、岩手県の本州最東端魹ヶ崎に向かった際のこと。
猛烈な台風が過ぎ去った後で、時折強い風と雨が吹き付ける中、私は本州最東端へと向かいました。
その帰りに私は猛烈な風雨にさらされ、低体温症になりかけました。
ゴアテックスの高性能カッパであるストームクルーザーを装備していたのにもかかわらず、です。

[ストームクルーザー。高性能なゴアテックス生地を採用したレインウェア。撥水性能に優れる上、通気性もよく蒸れにくい・・・・が。]

ゴアテックスのような撥水性能に優れ、かつ内部の湿気を効率よく外へと逃がす構造のレインウェアは、普通の雨ならば十分な撥水性能を発揮して体が蒸れることは少ない。
けれども、猛烈な風雨により大量の雨が風によりたたきつけられるような環境だと、撥水性能が著しく低下して体が濡れてくる。
風雨の中を1時間程度歩きましたが、撥水性能が保ったのは30分程度。後の30分は体中水浸しになり、体温の低下により低体温症のリスクが生じました。

まさか、真夏の8月に車のヒーターを全開にして暖を取ることになるとは思いませんでしたね。

真夏の登山といえども山の天気は変わりやすく、突如として猛烈な風雨にさらされることになるリスクがないとは言えない。
なのでお天気サイトの天気図を十分に見て雨の可能性が限りなく0に近く、気象庁のホームページで天気予報により晴れであることを確認しても、レインウェアだけは必ず持っていかなければならない。


低体温症となった時、当然体を温めることが重要ですね。
登山中ならば、装備可能な衣類はすべて着る。
ただし一度低体温症になると体が温まるまでに時間がかかるので、ホッカイロや火にあたるなど外から暖気を与えないと中々体が温まってこない。

[ジッポのハクキンカイロ。通常の使い捨てカイロよりも発熱量が高く、繰り返し使用できるのが良い。私の愛用品。]

先述したように、風雨にさらされると急激に体の体温が下がるため、体は決してぬらさないように注意する。
「多少天気が怪しくなってきた、小雨が降ってきた・・・まだレインウェアを着る必要は無いか。ザックを下ろすのも面倒だし。」
登山中は歩くことに夢中となり、こういった思考になりやすい。
疲労していればなおさらのこと。
けれども、雨風にさらされると体の体温は急激に低下することは、前の私の体験談で述べたとおりです。
早め早めにレインウェアを着ること。
あまりにも風雨が激しくなると、レインウェアの撥水性能は急激に低下してしまうため、避難小屋や山小屋に入る。
無ければ大きな木下に隠れるなど、工夫をする(ただし、この場合は蛭に気をつけて)

一度服が濡れてしまったら、別の乾いた服に交換するのが理想。
バーナーでお湯が作れる環境があればお湯を作り、ペットボトルにお湯を注いで湯たんぽ代わりとする。
ついでに温かいお茶を飲み、体の中からも暖めてやること。

[モンベルの定番バーナー・ジェットボイル。軽量小型で火力十分。登山のお供に。]

低体温症が重度となった場合、急激な運動はかえって症状を悪化させるため、安静にする。
この場合、急激に体を温めると心臓に負担がかかってしまうため、少しずつ体を温めること(昔から人肌のぬくもりがいいというのはこういうことですね)

少し話はそれますが、私のじいさんが若い頃に山で遭難し、命からがら下山した後に人肌で体を温めてもらって一命を取り留めたことがあるとか。
親父も山登りが好きなので、私の一族は代々山男のようです(笑)


そういえば以前、浅間山へと登山に行った際に低体温症になりかけました。
時期が10月ということもあり、肌寒かったのですが、登山時はそれほど寒さを感じなかったのです。
登山は非常にカロリーを消費しますし、カロリー消費と共に体が発熱します。
なので登っている最中はそれほど寒さが気にならないのですが、汗を大量にかいた後に平地になると、一気に体温を持って行かれます。

私が低体温症に気づいたのは、どうもお腹の調子が良くないと感じた時。
手袋を外してお腹を触ると、氷のように冷たい!
手や足は寒さをそれほど感じなかったのに、お腹が冷たかったのです。
私はザックに入れておいたホッカイロを使用して事なきを得ましたが、こういう時は温かい飲み物を飲む、というのも重要ですね。
体の芯が冷え切っている状態というのは、中々温め直すのが大変ですから。

astora
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