硫化水素の危険性

さてさてさて、火山性ガスというのはいわゆる硫化水素を含んでいるものです。
硫化水素は一時期、とある家庭薬品を混合させることで生じさせて、自殺に使用するという痛ましい事件が相次いだ経緯があります。
「簡単に死ぬことが出来る」というのが硫化水素の恐ろしいところで、気がついた頃には死んでいます。

「火山での対処」の項目でも少し書きましたが、今回は私が会社の命令で「酸素欠乏危険作業主任者」という資格を取得することになり、硫化水素の危険性を3日間の講習でたたき込まれたことから、新しく記事を書く次第であります。

基本的にここからは「酸素欠乏危険作業主任者テキスト」から、硫化水素に関わる記述に関して引用させていただきます。

硫化水素は水分に解けやすいので、その中毒作用は低濃度にてまず外気に露出している目や呼吸器の粘膜に溶け込むことから始まる。
600ppm程度の濃度の場合、肺から吸収されても、直ちに酸化されて無害で排出されるので問題ない。
しかし、700ppmを超えると体内での硫化水素の無毒化が間に合わず、脳神経細胞に直接作用し、意識消失と呼吸麻痺が起こり即死する。

硫化水素というのは「卵の腐ったような臭い」がします。
火山に登ったことのある方は分かると思いますが、卵の腐った独特の臭いが、風上から流れてくることがあります。
硫化水素というのは「(1)水溶性(目や粘膜から吸収される)」「(2)空気より軽い(上から流れてくる事が多い)」「(3)高濃度では臭いを感じなくなる」
といった特性を持つ。

このうち「(3)高濃度では臭いを感じなくなる」というのが、登山をする上で非常に厄介なのだ。

硫化水素1~5ppm程度の低濃度の場合、卵の腐った不快な臭いがするので危険を察知できる。
すぐさま、その場から離れれば問題ないが、20~30ppm程度の濃度になると嗅覚神経が麻痺し始め、30ppmを超えると臭いを感じなくなってくる。
そのため、「硫化水素はなくなった」と勘違いしてしまうというのが、登山において大変危険なのだ。

ここでそれぞれの濃度における自覚症状を書いておこう。
~5ppm
敏感な人が臭いを感じる。

~10ppm
目の粘膜が刺激され始める

~30ppm 耐えられるが、嗅覚が麻痺してそれ以上の濃度に感じなくなる

~300ppm
嗅覚が完全に麻痺し、かえって硫化水素が無くなったと感じる。
長時間暴露により気管支炎・肺炎・肺水腫
目が結膜炎、かゆみ、痛み、まぶしさを感じ視界を失っていく

~400ppm
1時間の暴露で死の危険

~700ppm
短時間の呼吸後直ちに呼吸麻痺
800~ppm 意識喪失・呼吸停止・死亡

登山中は決して硫黄分が吹き出している箇所(黄色く変色している)へは近づかない。
近場を通っても臭いを対して感じないような状態ならば、かえって危険なのだと心得ておくべきでしょう。

astora
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